特異値の定義と性質

特異値の定義

特異値分解(Singular Value Decomposition, SVD)は、任意の実(または複素)行列 ARm×nA \in \mathbb{R}^{m \times n} に対して次の形で表現できる分解です:

A=UΣVTA = U \Sigma V^{\mathsf{T}}

  • URm×mU \in \mathbb{R}^{m \times m}:直交行列(列ベクトルは直交基底)

  • VRn×nV \in \mathbb{R}^{n \times n}:直交行列(列ベクトルは直交基底)

  • ΣRm×n\Sigma \in \mathbb{R}^{m \times n}:対角成分に非負の実数が並ぶ行列(これらが 特異値(singular values)

特異値の定義
行列 AA の特異値とは、行列 ATAA^{\mathsf{T}}A(または AATAA^{\mathsf{T}})の固有値の非負平方根として定義されます。
つまり、

σi=λi,λi は ATA の固有値\sigma_i = \sqrt{\lambda_i}, \quad \lambda_i \text{ は } A^{\mathsf{T}}A \text{ の固有値}

ここで、σ1σ2σr>0\sigma_1 \geq \sigma_2 \geq \cdots \geq \sigma_r > 0 と並べるのが一般的で、r=rank(A)r = \text{rank}(A) です。


特異値の主な性質

  1. 非負性

    • 特異値は必ず 0 以上の実数である。
      (固有値は負になる可能性があるが、その平方根を取るため)

  2. 対称行列との関係

    • ATAA^{\mathsf{T}}AAATAA^{\mathsf{T}} は対称行列(正定値半正定値行列)であり、それぞれ同じ非零固有値を持つ。

    • その固有値の平方根が特異値になる。

  3. ノルムとの関係

    • 最大特異値 σ1\sigma_1 は行列の スペクトルノルム(作用素ノルム)に一致する:

      A2=σ1\|A\|_2 = \sigma_1

  4. 行列の階数との関係

    • ゼロでない特異値の個数は、行列 AA の階数と一致する。

  5. 行列式との関係

    • 正方行列の場合、行列式の絶対値は特異値の積に等しい:

      det(A)=i=1nσi|\det(A)| = \prod_{i=1}^n \sigma_i

  6. フロベニウスノルムとの関係

    • 行列のフロベニウスノルムは特異値の二乗和の平方根に一致する:

      AF=i=1rσi2\|A\|_F = \sqrt{\sum_{i=1}^r \sigma_i^2}

  7. 直交基底との関係

    • 特異値分解によって得られる U,VU, V の列ベクトルは、それぞれ 左特異ベクトルUUの列)と 右特異ベクトルVVの列)と呼ばれる。

    • Avi=σiuiA v_i = \sigma_i u_iATui=σiviA^{\mathsf{T}} u_i = \sigma_i v_i が成立する。


まとめ

  • 特異値ATAA^{\mathsf{T}}A の固有値の平方根として定義される。

  • 特異値は常に非負であり、行列の「大きさ」や「情報量」を測る指標となる。

  • 最大特異値は作用素ノルム、全特異値の二乗和はフロベニウスノルムに対応する。

  • 非零特異値の個数は行列の階数を表す。

ChatGPT5 生成日:2025/09/17