偏微分

「偏微分(Partial Derivative)」は、多変数関数の微分の一種であり、他の変数を一定と仮定したうえで、特定の変数に関する変化率(導関数)を求める操作です。機械学習や強化学習では、**損失関数の最適化や勾配法(Gradient Descent)**において頻繁に用いられます。


1. 偏微分の基本的な定義

関数
  f(x, y)
のように、複数の変数(この場合は x と y)を持つ関数を考えます。x に関する偏微分は、y を定数とみなして微分を行うことを意味します。

定義式

fx=limΔx0f(x+Δx,y)f(x,y)Δx\frac{\partial f}{\partial x} = \lim_{\Delta x \to 0} \frac{f(x + \Delta x, y) – f(x, y)}{\Delta x}
fy=limΔy0f(x,y+Δy)f(x,y)Δy\frac{\partial f}{\partial y} = \lim_{\Delta y \to 0} \frac{f(x, y + \Delta y) – f(x, y)}{\Delta y}

このように、「∂」は偏微分の記号であり、通常の微分(d)と区別されます。


2. 偏微分の例

関数:

f(x,y)=x2y+3xy2f(x, y) = x^2y + 3xy^2

この関数の x に関する偏微分は:

fx=2xy+3y2\frac{\partial f}{\partial x} = 2xy + 3y^2

y を定数とみなして微分しました。

同様に、y に関する偏微分は:

fy=x2+6xy\frac{\partial f}{\partial y} = x^2 + 6xy

x を定数とみなして微分しました。


3. 機械学習との関係

偏微分は、損失関数(Loss Function)を最小化するための勾配を計算する際に使われます。

例えば、重み ww とバイアス bb を持つモデルの出力に対する損失関数 L(w,b)L(w, b) があるとき、最適なパラメータを求めるには:

  • Lw\frac{\partial L}{\partial w}

  • Lb\frac{\partial L}{\partial b}

のような偏微分を求め、勾配降下法により更新を行います。

勾配降下法の更新式

w:=wηLw,b:=bηLbw := w – \eta \frac{\partial L}{\partial w} \quad , \quad b := b – \eta \frac{\partial L}{\partial b}

(η は学習率)


4. 偏微分と勾配ベクトル

多変数関数のすべての偏微分をまとめると、**勾配ベクトル(Gradient)**になります:

f(x,y)=(fx,fy)\nabla f(x, y) = \left( \frac{\partial f}{\partial x}, \frac{\partial f}{\partial y} \right)

これは、関数 f の変化が最も急な方向を示すベクトルであり、機械学習の学習アルゴリズムにとって非常に重要です。


5. 高階の偏微分

偏微分をもう一度行うと、「高階偏微分」になります:

  • 2fx2\frac{\partial^2 f}{\partial x^2}:x について2階の偏微分

  • 2fxy\frac{\partial^2 f}{\partial x \partial y}:x と y に関する混合偏微分


まとめ

項目 内容
定義 他の変数を固定して一変数のように微分
記号 ∂(偏微分記号)を使う
役割 勾配の計算、最適化手法(勾配降下法)で必須
応用 損失関数の最小化、ニューラルネットワークの学習など

生成日:2025/06/01