直交基底と正規直交基底について

線形代数における「直交基底」「正規直交基底」は、内積空間における基底の特別な形を指します。これらは計算の簡略化や理論的な展開に大きく役立ちます。


1. 直交基底の定義

  • 直交基底とは、基底を構成する各ベクトルが互いに直交している基底のことです。

  • 内積空間 VV において、基底 {v1,v2,,vn}\{v_1, v_2, \dots, v_n\}

    vi,vj=0(ij)\langle v_i, v_j \rangle = 0 \quad (i \neq j)

    を満たすとき、この基底を「直交基底」と呼びます。

特徴

  • 直交基底を用いると、任意のベクトル xVx \in V を基底に分解する際の計算が簡単になります。

  • 係数は、内積を使って直接求められるようになります。


2. 正規直交基底の定義

  • 正規直交基底とは、直交基底のさらに特殊な形で、各ベクトルの長さ(ノルム)が1に正規化された基底のことです。

  • すなわち、

    vi,vj={1(i=j)0(ij)\langle v_i, v_j \rangle = \begin{cases} 1 & (i = j) \\ 0 & (i \neq j) \end{cases}

    を満たす基底 {v1,v2,,vn}\{v_1, v_2, \dots, v_n\} を正規直交基底と呼びます。

特徴

  • ベクトル分解がさらに簡単になります。
    任意の xVx \in V

    x=i=1nx,vivix = \sum_{i=1}^n \langle x, v_i \rangle v_i

    と表すことができます。

  • 計算が非常に効率的で、特に数値計算や信号処理などでよく使われます。


3. 正規直交基底の構成方法

任意の基底から正規直交基底を作る方法として有名なのがグラム・シュミットの正規直交化法です。

手順(基底 {u1,u2,,un}\{u_1, u_2, \dots, u_n\} から正規直交基底を作る場合):

  1. v1=u1u1v_1 = \dfrac{u_1}{\|u_1\|}

  2. u2u_2 から v1v_1 方向の成分を引き、正規化して v2v_2 を作る。

    v2=u2u2,v1v1u2u2,v1v1v_2 = \frac{u_2 – \langle u_2, v_1 \rangle v_1}{\|u_2 – \langle u_2, v_1 \rangle v_1\|}

  3. 同様にして、残りの uku_k を順番に処理し、互いに直交した単位ベクトルを得る。


4. 応用例

  • 数値計算: 直交行列やQR分解で利用される。

  • データ解析: 主成分分析(PCA)では直交基底を用いた座標変換を行う。

  • 信号処理: フーリエ級数や離散フーリエ変換(DFT)は正規直交基底を利用して展開する。

  • 量子力学: 状態ベクトル空間では正規直交基底によって観測や確率解釈が可能になる。


まとめ

  • 直交基底: 基底ベクトルが互いに直交。

  • 正規直交基底: さらに各ベクトルが単位長さに正規化されたもの。

  • 利点: ベクトル分解・座標変換が容易になり、理論・応用の両面で非常に重要。

  • 構成法: グラム・シュミットの正規直交化法が基本。

ChatGPT5 生成日:2025/09/17