確率分布(ベルヌーイ、二項、正規分布など)

機械学習・強化学習において「確率分布」は非常に重要な概念であり、データの性質を理解したり、モデルの仮定を設計したりする際に広く利用されます。ここでは代表的な離散分布(ベルヌーイ分布・二項分布)および連続分布(正規分布)について詳しく説明します。


1. 確率分布とは

確率分布とは、ある確率変数が取り得る値と、それに対応する確率との関係を定量的に表現したものです。

  • 離散確率分布:取り得る値が有限または可算個(例:サイコロ、コイン投げ)

  • 連続確率分布:取り得る値が連続的(例:身長、温度)


2. 離散分布

2.1 ベルヌーイ分布(Bernoulli distribution)

概要:

ベルヌーイ分布は、**成功(1)または失敗(0)**のように、2つの値のいずれかを取る確率変数に対する分布です。

定義:

確率変数 X{0,1}X \in \{0, 1\} が、確率 pp で 1(成功)、確率 1p1 – p で 0(失敗)を取るとき、

P(X=x)=px(1p)1x(ただし x{0,1}P(X = x) = p^x (1 – p)^{1 – x} \quad \text{(ただし } x \in \{0,1\} \text{)}

例:

コインの表が出る確率が p=0.5p = 0.5 のとき、1回の投げで表(1)が出る確率も裏(0)が出る確率も 0.5。

応用:

  • ニューラルネットワークにおける2値分類

  • 強化学習における1回の行動の成否のモデル化


2.2 二項分布(Binomial distribution)

概要:

ベルヌーイ試行を n回繰り返した結果 を表す分布です。つまり、「n回の独立な成功・失敗試行で、成功がちょうどk回起きる確率」。

定義:

P(X=k)=(nk)pk(1p)nk(k=0,1,...,n)P(X = k) = \binom{n}{k} p^k (1 – p)^{n – k} \quad (k = 0, 1, …, n)

  • nn:試行回数

  • kk:成功回数

  • pp:1回あたりの成功確率

例:

10回コインを投げて表が出る回数(成功)がちょうど7回である確率。

応用:

  • A/Bテストにおける成功回数のモデル化

  • ベイズ推論における尤度関数


3. 連続分布

3.1 正規分布(Gaussian / Normal distribution)

概要:

正規分布は、自然界や統計において非常によく現れる連続分布です。**平均値周辺にデータが集中して分布し、左右対称な釣鐘型(ベルカーブ)**になります。

定義:

確率密度関数(PDF)は以下の通りです。

f(x)=12πσ2exp((xμ)22σ2)f(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}} \exp\left(-\frac{(x – \mu)^2}{2\sigma^2}\right)

  • μ\mu:平均(中心)

  • σ2\sigma^2:分散(ばらつきの大きさ)

例:

身長や体重、試験の得点など、多くの自然現象や測定データは概ね正規分布に従います。

応用:

  • 線形回帰やロジスティック回帰で誤差項が正規分布を仮定される

  • ベイズ推論で事前分布・事後分布に使われる

  • 強化学習における連続アクション空間のポリシー(例:ガウス方策)


4. その他の代表的な分布(参考)

分布名 特徴・用途例
ポアソン分布 単位時間あたりの事象発生回数のモデル(例:アクセス数)
幾何分布 初めて成功するまでの試行回数
指数分布 事象の間隔(連続時間)のモデル
多項分布 二項分布の多値版。複数カテゴリの出現回数のモデル
カイ二乗分布 分散の検定などに使う統計分布
t分布 標本数が少ない場合の平均の信頼区間推定

5. 機械学習・強化学習における意義

  • モデル化:現象を確率的に表現する(例:ノイズ、報酬、観測)

  • 推論と学習:尤度関数や損失関数の定式化に確率分布が使われる

  • 生成モデル:正規分布などを利用して新しいデータを生成(例:VAE, GAN)

  • 強化学習:方策を確率分布として定義し、サンプリングに基づく行動選択を行う

生成日:2025/06/01