**正定値行列(positive definite matrix)**とは、主に線形代数や機械学習、最適化の分野で非常に重要な役割を果たす特殊な対称行列です。以下に、定義・性質・判定方法・機械学習における応用などを含めて詳しく説明します。
正定値行列の定義
ある対称行列 が正定値であるとは、任意のゼロでないベクトル に対して次を満たすときです:
これは、二次形式 が常に正になることを意味します。
正定値行列の特徴
以下のいずれも正定値行列の判定や性質に用いられます:
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固有値がすべて正:
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対称行列 が正定値 ⇔ 固有値がすべて正。
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これは、固有値分解により と書けるため、 の対角要素がすべて正である必要があるということ。
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すべての主小行列式が正:
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左上からの部分行列(サイズ 1×1, 2×2, …, n×n)の行列式がすべて正なら、正定値。
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これはSylvesterの判定法と呼ばれる。
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Cholesky分解可能:
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(ただし は下三角行列)というCholesky分解が可能なことも正定値行列の特徴です。
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準正定値行列との違い
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準正定値行列(positive semi-definite matrix):
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条件:(等号も許される)
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固有値がすべて非負。
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正定値行列とは異なり、ゼロの固有値があってもよい。
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例
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行列
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対称で、固有値は (どちらも正)。
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任意のゼロでない に対して 。
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よって正定値。
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行列
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固有値は (負の固有値あり)。
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よって正定値ではない。
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機械学習・強化学習における応用
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最適化(凸最適化):
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正定値行列は、目的関数のヘッセ行列(2階微分行列)として現れます。
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この行列が正定値 ⇒ 関数は局所最小ではなく大域的な凸関数。
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正則化(リッジ回帰など):
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リッジ回帰では が正定値になるよう調整されます( の場合、必ず正定値)。
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ガウス過程回帰:
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カーネル行列(共分散行列)は、対称かつ正定値でなければなりません。
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強化学習(LQRなど):
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線形二次制御(Linear Quadratic Regulator)において、コスト関数中の重み行列は正定値であることが求められる。
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まとめ
| 特性 | 正定値行列(Positive Definite) |
|---|---|
| 対称性 | 必須 |
| 二次形式 | |
| 固有値 | すべて正 |
| 主小行列式 | すべて正 |
| Cholesky分解 | 常に可能 |
| 機械学習での応用 | 最適化、正則化、ガウス過程、LQRなど |
生成日:2025/06/01